2007年12月19日

焼き菓子店

甘い香り、あたたかい空気。
わたしが、ここに来てどれくらいたったんだろう。

優しい、あの人。
見付からない、姉。

どちらにも、傾ききれない心は少しだけ、きしんだ音を立てる。

優しさに答えられない自分がいやで。
ひとりで探し出せない自分が情けなくて。

ぎこちない笑顔しか浮べられないのに。
あの人はそれでも、笑顔を向けてくれる。

聖夜が近付いてくる。
飾り付けのお手伝いはなんとかうまく出来たけど。
…わたしたちにとって敵の神様は。

わたしの願いを、聞いてくれるでしょうか。


......ティモさま

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2007年11月24日

丘の上

漂ってくるのは、色んな匂い。
食べ物や、たきぎの香り。
それと。…少しだけの ちの、かおり。

分かってしまう自分が悲しくて。
うずくまったわたしに声を掛けてきたのは。
―――真直ぐに、背をのばしたきれいな、人。

でも、わたしと似たその人は何度も繰り返す。
怯えるな、背を伸ばせ。
―――強くなれ、と。

わたしの名前を知っていたこと。
おとうさまのことを知っていたこと。

色々、聞きたいことはあったけど。
でも、きっと。
……今のわたしには無理なこと。

でも、ひとつだけ。
その人のおかげで分かった事があるから。

わたしは、生きる。

今は、それしか出来なくても。
いつか、あの人のようにまっすぐ前を見ることが出来るのかな。


......Victoireさま

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2007年10月21日

惨劇の村

あまい、あまい香りに誘われて。
でも、それはあんまりにも濃すぎる香りへとかわる。

たどり着いたのは、血に、まみれた村。

紅の、海。
死んだ、人たち。
静まり返った、村。

声がかれるまで叫んで生きている人を探した。
そんなわたしに声を掛けてくれた、ひとりの男の人。

その人は、自分を天使だといった。
そして、これは自分のせいじゃないといった。

始めは信じられなかったけど、その人から血の匂いはしなかったから。
だから。

…どうか、あのひとたちが。
安らかに、眠れますように―――…。


......Azeliaさま

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2007年10月18日

路地裏

覚えてるのは。

渇きと。
熱さと。
寒さと。
自分の鼓動と。

―――誰かの、心臓の、おと。

その先が、思い出せない。
どうしても。

どう、して。どうして、喉が渇くの…?
もう、ここには。
笑ってくれる、ほめてくれるおとうさまは居ないのに…。

…喉の渇き、だけは。
そばに居てくれる人が居なくてもわたしを蝕み続けるの。


......ウィルさま

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店が軒を並べる路地

あまい、かおりに誘われて。
ふと、踏み入れた路地で出会った金髪のおんなのこ。

見た目は、わたしと同じ位なのに。
優しい言葉を初対面の人に掛けられるなんて。
すごい、って思うのと。
……ごめんなさい、って思うのと。

素直に人の言葉を受け入れられなくてごめんなさい。
でも、彼女に出会えたのはきっと。わたしにとっては幸運だから。

でも、もしも。
わたしが、ヒトの首筋に牙を立てる――吸血鬼だと知っても。

あなたは、同じ微笑みを向けてくれますか…?


......ティモさま

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posted by ゆい at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | さな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする